.023本針の1本外し
天然素材の生地が主流だった1950年代、衣類品に耐久性を持たせるため工夫を凝らした様々な縫製技術が存在していました。
中でも最高峰とされていたその技術は、3本針の内2本の針をリブに乗せ、残り1本をボディ側に外して縫う技術でした。あえてボディに1本外された糸は、リブとボディが洗濯乾燥する際生じる収縮率の差をリブに残された2本の糸と裏側にある3本分の振り糸で同調させ、形状を維持させることができました。素材の限界を縫製技術により引き上げられたTシャツは、他の簡易的な縫製に比べ群を抜く丈夫さを誇り高級衣類として重宝されていました。
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昨今これらの技術は、時代の変化とともに現れた新たな素材と技術革新により風化されつつあります。失いかけた技術の継承と天然素材が持つ特性を最大限に活かすため、60年経過した当時のTシャツから手蔓を求め、更に堅牢なTシャツをフラットヘッド基準とすべく挑戦が始まりました。フラットヘッドが「3本針の1本外し」としたネックの縫製は、20番手のコットン撚糸を用いて縫製するものです。しかし、見た目にも判る20番手の太い糸は、Tシャツの柔らかい編み生地へは使用が出来ないとされていました。それは太い撚糸に使用する太い縫針では生地を傷めてしまう為です。フラットヘッドではこの難題を解決する為に、コットン素材で適度な強度を持つ20番手の縫製糸を独自に紡績し、それに合う縫い針に至るまで追求しました。更に専用ミシンを全て分解して組み直し幾度もの微調整と試行錯誤を繰り返した熟練の職人達の手で解決へと至りました。
「20番綿糸による3本針の1本外し」これがフラットヘッド基準を満たした縫製の証です。常識を超えた縫製で生み出されるTシャツは、天然素材であるコットンの特性と相まって着用と洗濯乾燥を繰り返す事で体に馴染み、最高の着心地をお約束いたします。
日本が誇る「職人技」と「フラットヘッドのこだわり」から製作された究極のTシャツを、どうぞ永きに渡りお楽しみください。